前回に引き続き遊戯王の複雑なルール、通称「コンマイ語」の解説第2回です。
特にデュエルリンクスから遊戯王デビューした人にとっては
「何このカードゲーム難しい・・・」
という遊戯王というゲームの難解さに頭を抱えていると思われるので
少しでもそんな人の力になれたら幸いです。
このゲームが難しいと思っているデュエリストの皆様、安心してください。
皆難しいと思ってます!
遊戯王歴10年以上のベテランデュエリストでも間違える時は間違えるので
ルールミスしてしまうのは当たり前ぐらいの気持ちで
少しずつルールを覚えてエンジョイしていきましょう。
遊戯王に限った話ではないですが初心者の方がゲームを始めた場合
ルールの勘違いによる「初心者あるあるミス」というのはお約束です。
さて皆さん、遊戯王において特に見かける初心者あるあるミスって何だと思います?
A「罠カード発動、『激流葬』!モンスターを全て破壊する!」
B「させるか!速攻魔法発動、『サイクロン』!激流葬を破壊する!」
自分はこれだと思ってます
罠の発動に対してそれを破壊する事で無効にしようとしてしまう
いわゆる「最強サイクロン」と呼ばれる類の初心者あるあるです。
ちなみにこれを実際に行った場合確かに激流葬は破壊されますが
激流葬の効果は問題なく発動し場のモンスターは全て破壊されてしまいます。
デュエルリンクスのQ&Aにもこれと似たような状況の質問があり
デュエルリンクスにおいてもよく見かける光景なのでしょう。
なまじ破壊可能だからこそこのミスが多いんでしょうね。
今回はこのルールミスの原因となる
「破壊」と「無効にして破壊」の違いについて説明したいと思います。
目次
なんで上の状況だと無効に出来ないの?
一言で言うと「サイクロンに無効にする機能がないから」です。
その前にまずはサイクロンというカードの紹介です。
速攻魔法
①:フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
その単純明快かつ圧倒的な使いやすさにより
魔法罠破壊カードとして遊戯王を代表する1枚です。
17年前に登場してから今なお多くのデュエリストに愛用され続けており
とりあえず入れるカードに迷った時には伏せカード対策として採用する1枚です。
速攻魔法である点も魅力であり相手の魔法罠に合わせて発動して
すぐさまそれを破壊する事も出来るのですが
残念ながら通常魔法や通常罠というものは
破壊されても効果自体は問題なく発動してしまうのです。
これはよくカードを銃、その効果を弾丸と仮定し
「銃を破壊してもそこから発射された弾丸は消えない」
という例えで表されます。弓と矢で例えてもいいのですが
カードが発動されたという事は「もう発射された後」なのです。
なのでカードそのものを破壊したとしてもその発射された弾丸、
つまりは効果自体をなんとかしないとそれを無効にできないわけです。
で、実際に先ほどの例で激流葬を防ぎたい場合にはこういうのを使います。
カウンター罠
①:相手が魔法・罠カードを発動した時に発動できる。
その発動を無効にし破壊する。
相手はデッキから1枚ドローする。
相手の魔法罠カードが発動した時に合わせて発動でき
相手に1枚のドローを許してしまいますがその魔法罠の発動を無効にして破壊する
これまた遊戯王を代表するカウンター罠の1つです。
このカードを激流葬の発動に対して使えば
モンスターを破壊される事なく激流葬を無力化する事が可能です。
先ほどのサイクロンと何が違うかと言えば「その発動を無効にし」という記述です。
サイクロンと違いそもそも発動自体を無効にしているので
激流葬の効果も発動しなかった扱いになるわけです。
銃と弾丸の例で言えばシティーハンターよろしく
相手が弾を発射する前にその銃を撃ち落として発砲不可能にしている感じです。
あとこんなカードもあります。
通常罠
このターン、このカード以外のフィールド上の罠カードの効果を無効にする。
そのターンの間フィールドで発動された罠を無効にするというカードで
サイクロンとは逆に破壊はせずに効果だけ無効にします。
激流葬に合わせてこのカードを発動した場合でも
ちゃんと激流葬を無効にしてモンスターを破壊から守る事が可能です。
魔宮の賄賂と違い効果の発動自体はさせているけどその効果を防いでいる。
銃と弾丸の例で言えば発射された弾丸を防弾チョッキで防いだ形です。
銃は破壊していませんが弾丸は1発限りなので弾切れです。
話をまとめますと
「通常魔法や通常罠を防ぐにはちゃんと無効にしないとダメ」
という事ですね。
これを理解していない場合サイクロンで無効に出来ると勘違いしちゃって
激流葬などに合わせて発動してしまうわけです。
このようにサイクロンに無効化機能を思わずつけてしまう勘違いを
通称「最強サイクロン」と言います。初心者あるあるの代表格です。
残念ですがサイクロンはそこまで最強ではありません。
恥ずかしがることはありません、皆同じような経験があります。
初心者とはそういうもの、ワシにも覚えがある
こういう時にはサイクロンが有効
さて、ここからが少し複雑な話になるのですが
サイクロンで破壊しても効果を無効に出来ないのは
通常魔法や通常罠と言った発動後すぐに墓地に送られるタイプのカードであり
サイクロンで破壊すればちゃんと効果を無効化できるカードも存在します。
それが永続魔法、永続罠、フィールド魔法、装備魔法といった
発動後もフィールドに残り続けるようなカードです。
ペンデュラムゾーンにセットされたペンデュラムカードもそうですね。
基本的にこれらの効果はフィールドに存在している間その効果が発揮します。
逆に言えばフィールドに存在しなくなってしまえば効果を発揮しなくなる為
サイクロンで破壊すればその効果を消す事が可能なのです。
フィールド魔法
フィールド上の水族・水属性・レベル2以下のモンスターの
攻撃力は1200ポイントアップする。
例えばこんなカードで攻撃力を上げて攻撃してきた場合、
サイクロンでこのカードを破壊してしまえば
上昇した攻撃力は元に戻ります。
通常魔法が通常罠が銃で弾丸を発射するのであれば
こちらはエンジンで機械を動かしているようなものです。
エンジンを破壊すればその機械は停止します。
ここからが本題です。永続罠にはこのようなカードがあります。
永続罠
①:自分の墓地のレベル4以下のモンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。
そのモンスターを特殊召喚する。
そのモンスターは、レベルが1つ上がり、攻撃力・守備力が100アップする。
そのモンスターが破壊された時にこのカードは破壊される。
墓地のモンスターを蘇生できる永続罠です。
永続罠にはこのようにモンスターを特殊召喚するタイプのものがありますが
一度この効果が発動して特殊召喚されたモンスターは
リビングデッドの呼び声のような「このカードが破壊された時にモンスターを破壊する」
といった効果が無ければ例えその永続罠が破壊されてもモンスターは場に残ります。
強化蘇生でモンスターが特殊召喚された後にサイクロンで強化蘇生を破壊した場合
レベルと攻撃力守備力は元に戻りますがモンスター自体は特殊召喚されたままです。
ですが強化蘇生が発動した直後、それに合わせてサイクロンで破壊した場合、
モンスターが特殊召喚される事なく強化蘇生を破壊する事が可能です。
これは永続魔法や永続罠における効果の発動と
通常魔法や通常罠における効果の発動では処理の仕方が変わってくる為です。
永続魔法や永続罠は先ほどの激流葬に比べてやや効果が発動するタイミングが遅く、
効果が発動する前に破壊出来るタイミングが存在するのです。
銃と弾丸の例えで言えば通常魔法や通常罠には初めから銃に弾が込められてるのに対し
永続魔法や永続罠は銃に弾を込めてから発射しないといけないようなものです。
弾を込めている隙に銃を破壊してやれば弾が発射される事はありません。
実質的にその効果をサイクロンで無効化できるようなものであり
サイクロンを有効に使う上での重要なテクニックとなります。
注意しなければ上記の例でサイクロンで強化蘇生を無効に出来るのはあくまで
「強化蘇生が発動した直後にサイクロンで破壊した場合」です。
これ、実は逆パターンの場合は話が変わってきます。
逆パターンというのはつまりこちらが先にサイクロンで伏せカードを破壊しようとし
相手が破壊されるはずだった強化蘇生を発動した場合です。
この場合のパターンですと強化蘇生における特殊召喚が間に合います。
これはチェーンブロックの話になるのですが基本的に遊戯王というゲームは
後から発動したカードの方が前に発動したカードよりも早く行動するのです。
銃と弾丸の例えで言えばあらかじめ相手の銃を破壊しようとしたら
相手が「俺のリロードはレヴォリューションだ!」とばかりに
先に破壊する暇もないほど一瞬で弾を装填して発射してきたようなものです。
話が長くなりましたが簡単にまとめるならば
「通常魔法や通常罠はサイクロンで無効に出来ないけど永続魔法や永続罠は無効にできる」
という事です。
「無効に出来るのは発動した直後のタイミングであり直前ではダメ」
という事も覚えておきましょう。
このように無効に出来るものと出来ないものが分かれている事も
初心者を勘違いさせやすい要因の1つでしょう。
サイクロンは非常にシンプルな効果もあるカードですが
同時に奥深いカードでもあります。
サイクロンは遊戯王を代表するカードの1つであり様々な派生カードも存在しています。
サイクロンで出来る事と出来ない事をしっかりと把握し使いこなす事が
一人前のデュエリストになる道の1つだと言えるでしょう。
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