東方鈴奈庵53話の感想です。
はい、最終話です。何の予告もなく突然の最終話です。
そろそろ終わりそうな雰囲気はあったのですがそれでも驚きました。
もったいないお化け
見事百鬼夜行を倒したしたマミゾウ(というか手下の狸)ですが
絵巻を焼却処分しようという所で
「そんな勿体ない事出来るか!」って感じでそのまま頂く事にしました。
これには手下の狸たちも予想外だったようで驚いてます。かわいい。
そして絵巻を入手した後も残っていた百鬼夜行に関しては
太陽に変化する事で撃退させました。これは元々百鬼夜行絵巻に
「夜が明け太陽が昇るとともに妖怪が去って行く」という最後が存在しており
それに倣った上での行動です。
ああ、あれ太陽に変化していたんですね、初見だと分かりませんでした。
なんか変な尻尾の生えた変な球体にしか見えませんでした
そんな感じの退治の逸話を宴会の席でマミゾウが得意げに話していました。
ちなみに絵巻に書かれているこの太陽なんですがこれがまた妙に禍々しくて
その結果「これは太陽ではなく空亡(そらなき、くうぼう)という妖怪なのでは?」
という説も生まれました。ある意味今回マミゾウこそが空亡になったと言えます。
ようこそ、こちらがわの世界へ
そして阿求に誘われて宴会に参加した射命丸はマミゾウの持ってる本が目につきます。
どこかで見た事があるいかにも怪しい本、
マミゾウは鈴奈庵で入手したと言っていますがその鈴奈庵は休業中です。
答えをはぐらかすマミゾウを怪しむ射命丸ですがふと目の前を見ると
なんと行方不明になっていた小鈴がいました。
どういう事かを問いかける阿求に問いかける文ですが
阿求自身もまったく知らされておらず事態を把握できていない様子でした。
そして小鈴本人も事態を把握できていない様子です。
それどころか自分がどうして今ここにいるのかも理解できていない感じですね。
どうやら行方不明になっていた間ずっと意識が無かった様子です。
そんな中霊夢をはじめ宴会の参加者たちが小鈴達の前に現れます。
そして小鈴に対して今まで秘密にしていた事を話す事を打ち明けます。
打ち明けた内容というのは博麗神社が妖怪達のたまり場になっていたという事、
小鈴は今まで出会った人達が皆妖怪であったのかと驚いていますが
魔理沙や早苗は「いや私らはれっきとした人間なんで」と否定、
それでも人間でありながら妖怪に近い立場にいるという事でここにいるわけです。
そして小鈴も改めて「妖怪側に近い人間」として
こうして博麗神社の秘密の宴会で歓迎しようという形になりました。
霊夢はこの事実を聞いてショックを受けるだろうと予想していたのですが
当の小鈴本人は「いやー自分も他の人と違う気がしていたんですよー」と
なんか純粋に嬉しそうな感じでした。
と言うわけで改めて小鈴がこの博麗神社の奇妙なグループの一員となり
秘密の宴会は無事終わります。
よーく考えよう
宴会の後始末をしている霊夢と魔理沙、
魔理沙は霊夢にあの夜に何かあったのかを聞きます。
というわけでまた話は遡って霊夢が紫と対峙している頃です。
霊夢は「紫さえ倒せば小鈴が無事に元に戻る」と結論付けていますが
それに対して紫は「あくまでこれは小鈴自身の問題」だと主張します。
そして「もし小鈴が妖怪になろうと考えたらどうするのか?」を霊夢に問いかけます。
実際小鈴は既に妖怪側にかなり傾倒しておりいつそうなってもおかしくありません。
「今まで通りの考えだとあんたいつか小鈴殺すことになるけどいいの?」
とおこるであろう未来を前に霊夢に考えさせようとしているわけですね。
で、その霊夢ですがものすごい目がぐるぐるしてます
よっぽど物事を深く考えるのが苦手なようです。これは脳筋言われても仕方ありません。
しかし今回ばかりは人の命に係わる出来事、いや今までも命関わってるんですけど
自分の知人を手にかける事は霊夢だって抵抗があるわけです。
それもあってか霊夢も神妙な顔してものすごく悩んでます。
結局の所「今までもなあなあにして放置した事があった」という理由で
紫に対して反論する事が出来ず霊夢は自分の考えを改める事にしました。
そんなわけでもういっその事妖怪側の一員にしちゃおうと宴会に誘ったわけですね。
宴会の最中も「私は間違った対応をしていた」と霊夢は言っており
今までの考え方を大分悔い改めている様子がうかがえます。
さて小鈴が戻った事で鈴奈庵が再開される事になりました。
そんな鈴奈庵には新商売をはじめたとの張り紙も
常連と思われる客がその新しい商売について聞いてみると
妖怪相手の妖魔本の貸し出しを始めたと小鈴は言います。
ただし貸し出す相手は小鈴自身の「眼」でしっかりと見極めた上です。
そんな新商売の一シーンを描いた所で鈴奈庵は終わりを迎えます。
長らく続いた鈴奈庵ですがついに今回完結を迎える事となりました。
最終的に小鈴は妖怪側に理解のある人間という立場で落ち着いたようですね。
そもそも小鈴は妖怪を怖がる描写こそ存在していましたが
阿求に警告されたにも拘わらず狐の子供をこっそり支援したりと
あまり妖怪を忌避していない様子が描かれていました。
そうして様々な妖怪の出会いを得て自分なりの意思を確立したという事ですね。
今回のサブタイトルである「八雲紫の安寧」ですが
紫のフォローにより小鈴は霊夢に怯える必要が無くなったので
小鈴にとっては紫がもたらしてくれた安寧と言えるでしょう。
また前回のサブタイトルである「博麗霊夢の誤算」は
霊夢が今まで自分が正しいと思っていた事を考えなした件だと思われます。
さて、完結したわけですが最後の最後で考察点が存在します。
「最後に登場した客は妖怪であるか否か?」です。
というのも妖怪相手に妖魔本を貸し出す商売を始めたなんて説明、
ごく普通の里人相手にするでしょうか?
そもそも人間相手への商売ではないわけですし
それで常連客が怖がって寄り付かなくなってしまっては商売あがったりです。
事実としてこのお客は妖怪相手に商売していると聞いても驚きすらしていません。
少なくとも普通の人間ではない事は確かだと思われます。
それを踏まえるとこの一連のシーンは小鈴がお客さんを妖怪と見抜いた上で
「妖魔本の貸し出し始めたんですよ。あなたもいかがです?」
と妖怪相手に貸し出そうとしているシーンである可能性が高いです。
自分の眼で確かめると言うセリフは
その相手が妖怪であるかどうかを確認するという意味もあるのでしょう。
能力によるものかそれとも今までの人付き合いで洞察力が身についたのか
いずれにせよ小鈴はそういう目利きが出来るようになったんでしょうね。
あと会話の様子からこのお客さんは常連である可能性が高いです。
文はマミゾウと同じく今まで人間と思っていた人が妖怪だったという事なのでしょう。
小鈴が思っていた以上に人間に紛れている妖怪は多いんでしょうね。
で、鈴奈庵というのは小鈴の両親たちと一緒に家族で運営しています。
妖魔本の貸し出しも当然商売なわけですから
両親がこの事を把握していないというのはちょっと無理がありますね。
という事はこの妖怪相手の貸し出し、親公認であると考えるべきです。
まあ元々小鈴は妖魔本を集める趣味があったわけですし
小鈴の能力に関しても把握している節がありましたから
小鈴と同様に結構妖怪耐性のあるご両親なのかもしれません。
カエルの親もまたカエルですね。