遊戯王に新しく導入されるリンク召喚、そして新マスタールール。
今回のルール変更はあまりにも今までとの変更が大きすぎて
長い間遊戯王をしている人ほど混乱している割合が多いのではないでしょうか。
しかしそれは逆に新しく遊戯王を始めようと考えている人にとっては
ベテランデュエリストとの知識の差が薄まっているチャンスとも言えます。
また去年から遊戯王デュエルリンクスがスマホアプリで登場しています。
自分はスマホを持っていないので残念ながら未プレイなのですが
デュエルリンクスから遊戯王を始めた方も結構な数いるでしょう。
そしてそういった方々は遊戯王を始めてこう思った人が多いのではないでしょうか。
「何このカードゲーム難しい・・・」
そう!遊戯王はとっても複雑なゲームなんです。
とにかく「短いテキストの裏に隠された本当の意味」というものが多く、
様々な状況ごとにカードの処理というものが細かく変わります。
そのあまりの難解さに遊戯王独自の難解なルールをコナミの音ゲー、
ギターフリークス8thMIX及びドラムマニア7thMIXにあった誤植から取って
「コンマイ語」という呼称でよく卑下され親しまれています。
遊戯王歴10年以上のデュエリストでもルールを間違える事は多く
かくいう私も正直な所ルールを完全に把握しきっていません。
なので新しくこのカードゲームを始める人は覚悟してください、
このゲームはとっても複雑です
ですが同時に複雑だからと言ってそこまでルールミスを恐れる必要はありません。
先ほど言った通りベテランでも間違える時は間違えるんです。
遊戯王を始めたばかりの人がルールを間違えるなんて当たり前ぐらいの気持ちで
気軽に遊戯王を始めてもまったく問題ありません。
ルールは遊戯王を続けながら少しずつ覚えていけばいいんです。
何事も実践あるのみです。
ちなみに初心者が遊戯王を勉強したいという場合は
PSPやPS Vitaで出ている遊戯王タッグフォースがオススメです。
新しいカードこそ収録されていませんがペンデュラム召喚まで実装しており
自動でゲームの処理をしてくれるのでルールを覚えるのに丁度いいです。
もっとも新マスタールールには対応していないので
そこでルールの違いに戸惑う問題は発生しそうですが・・・。
さて、今回はそんな複雑なルールのうち特によく見かけるものの1つであり
慣れている人でも結構間違える処理でもある
『タイミングを逃す』
について解説をしたいと思います。
目次
そもそもタイミングを逃すってどういう事?
一言で説明するならば
「カードの発動条件を満たしてるのにそのカードを発動できない現象」
です。
とりあえず例を1つ挙げてみましょう。
効果モンスター
星4/闇属性/ドラゴン族/攻1600/守1200
フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
自分の墓地に存在する「ブラック・ローズ・ドラゴン」
または植物族モンスター1体を選択して特殊召喚する事ができる。
こんなカードがあります。
いわゆる「破壊トリガー」と呼ばれる破壊された時に発動する効果を持つ
遊戯王において非常によく見かける発動条件を持つ効果です。
発動条件は読んで字のごとく「フィールドで破壊されて墓地に送られた時」です。
ではこのカードに対して次のようなカードを発動します。
通常罠
「破壊輪」は1ターンに1枚しか発動できない。
①:相手ターンに、相手LPの数値以下の攻撃力を持つ
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その表側表示モンスターを破壊し、
自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
その後、自分が受けたダメージと同じ数値分のダメージを相手に与える。
相手モンスター1体を破壊してその攻撃力分のダメージを受けつつ
「その後」相手にも同じダメージを与える罠カードです。
相手モンスターを破壊する効果を持つ代表的なカードの1つであり
ブルーローズ・ドラゴンにこのカードを発動すれば
ブルーローズ・ドラゴンは破壊されます。
そしてブルーローズ・ドラゴンが破壊された事でこのモンスターが持つ
破壊された時に発動する効果が・・・発動しないんです!
何故発動しないのか?理由を説明するならば今回の議題である
『タイミングを逃す』が発生してしまったからです。
そして何故タイミングを逃してしまったのかを説明するならば
「ブルーローズ・ドラゴンが破壊されたすぐ後に別の効果が発生したから」
となります。
どういう状況であればタイミングを逃すの?
例えば先ほどの破壊輪の効果が
通常罠
「破壊輪」は1ターンに1枚しか発動できない。
①:相手ターンに、相手LPの数値以下の攻撃力を持つ
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
その表側表示モンスターを破壊し、
自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。
といったものであればブルーローズ・ドラゴンは
墓地からモンスターを特殊召喚する効果を問題なく発動可能でした。
しかしこの破壊輪には相手モンスターを破壊した後に
その後、自分が受けたダメージと同じ数値分のダメージを相手に与える。
という相手にダメージを与える別の効果を持っています。
この2つの効果は連続で発生するもので
その間他のカードの効果を発動する事が出来ません。
そして「このダメージを与える効果が発生したタイミング」は
既に「ブルーローズ・ドラゴンが破壊されたタイミング」ではなくなっています。
ダメージを相手に与える←破壊された時の効果を発動できない
↑のような感じでブルーローズ・ドラゴンが破壊された時の効果を発動する前に
別の効果が発動しちゃっていて発動できるタイミングを逃しちゃったわけですね。
これが『タイミングを逃す』です。
難解なルールであると同時に相手にカードを発動させないテクニックでもあります。
ここで重要なのは破壊輪の持つ「自分がダメージを受ける効果」は
破壊された効果と同時なのに「相手にダメージを与える効果」は
破壊された後に発動したという点です。
この2つの何が違うかというとテキストの書かれ方が違います。
「その表側表示モンスターを破壊し、
自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。」
のように「〇〇し~〇〇する」というテキストの場合、
この2つの効果は同じタイミングで発生する事を意味します。
「その後、自分が受けたダメージと同じ数値分のダメージを相手に与える。」
のように「その後」というテキストが存在する場合、
その効果は前の効果よりも後のタイミングで発生する事を意味します。
ややこしい事を言ってますが「その後」というテキストがカードにあれば
それはタイミングを逃す状況が発生する効果だという事になります。
とりあえず「その後」というテキストに気を付けておけばいいでしょう。
ちなみに今回は「破壊された時」を例に出しましたが
それ以外にも「召喚に成功した時」や「ダメージを受けた時」
といった発動条件も同様にタイミングを逃すケースが発生します。
それ以外でタイミングを逃すケースはあるの?
あります。
「その後」と書かれた効果以外でも別の発生を直後に挟む処理として
「別のカードの効果が直後に発生した場合」が存在します。
詳しい事はチェーンブロックというまた別のルールになるわけですが
遊戯王というのは同じタイミングで複数のカードを同時に発動可能であり
その場合1枚1枚順番にカードの効果を適用していくのです。
例としてこんなカードがあります。
通常罠
①:モンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚された時に発動できる。
フィールドのモンスターを全て破壊する。
これまたモンスターを破壊できる代表的な罠カードの1つです。
この効果で先ほどのブルーローズ・ドラゴンを破壊すれば
ブルーローズ・ドラゴンの効果は問題なしに発動可能です。
ですがこの激流葬と同時にこんなカードが発動していたとします。
通常罠
①:フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを持ち主の手札に戻す。
こちらはモンスターを手札に戻すという破壊以外の効果を持つ罠カードです。
発動する順番にもよるのですがこの2つのカードを同時に発動した場合
「強制脱出装置→激流葬」もしくは「激流葬→強制脱出装置」
といった感じに1つ1つ順番にカードの効果が発揮されます。
もし「強制脱出装置→激流葬」といったように
後から効果処理をするのが激流葬であれば最後に破壊効果が発動する為、
ブルーローズ・ドラゴンの効果は発動可能となります。
ですが「激流葬→強制脱出装置」のように
強制脱出装置が後であれば破壊効果が発動した後に別の効果が発生している為に
ブルーローズ・ドラゴンはタイミングを逃してしまいます。
このようにカードの効果処理をする順番次第でも
カードを発動するタイミングを逃してしまうケースは発生するのです。
もう1つがアドバンス召喚やシンクロ召喚のリリース要因にした場合です。
例えばこんなカードがあります。
チューナー・効果モンスター
星3/風属性/鳥獣族/攻 500/守 500
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
デッキからレベル2以下の「ガスタ」と名のついた
モンスター1体を特殊召喚できる。
先ほどのブルーローズ・ドラゴンよりももう少し発動条件が緩い
「墓地へ送られた時」を発動条件にするカードです。
破壊された場合以外でも墓地へ送られれば効果を発動できるのですが
このガスタ・ガルドをシンクロ素材としてシンクロ召喚をしたとします。
もしくはこのガスタ・ガルドをリリースしてアドバンス召喚をしたとします。
この時ガスタ・ガルドはフィールドから墓地に送られるわけですが
このガスタ・ガルドは墓地へ送られた時の効果を発動する事はできません。
これは遊戯王のルールの問題ですがアドバンス召喚やシンクロ召喚が
「モンスターを墓地へ送り、その後にモンスターを召喚する」
という連続した処理として行うルールだからです。
とにかくアドバンス召喚やシンクロ召喚で墓地へ送る時にも
タイミングを逃してしまうという事を頭に入れておくといいでしょう。
どんなカードがタイミングを逃すの?
さて、特定の発動条件を持つカードは
前述のような状況においてカードを発動できない事があるのは説明しました。
ですが同じ条件でも発動できるカードというのも存在します
例えばこんなカードです。
効果モンスター
星6/闇属性/戦士族/攻2400/守1200
フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた場合、
デッキから「バウンサー」と名のついたカード2枚を手札に加える事ができる。
フィールドで破壊された場合という
ブルーローズ・ドラゴンとほぼ同じ発動条件を持つカードです。
しかしこのカードはブルーローズ・ドラゴンと違い、
先ほどと同じく破壊輪で破壊された場合でもその効果を発動可能となっています。
この2枚の発動条件はほぼ同じですがある一語だけ別の言葉に変わっています。
そしてその一語の違いがタイミングを逃すかどうかに影響を及ぼします
はい違うんです
ブルーローズ・ドラゴンとファントム・バウンサーの決定的な違い、
それは「時と場合」です。
遊戯王において時と場合は大きな違いを持つ言葉であり
「このカードが破壊され墓地へ送られた時」はタイミングを逃し
「このカードが破壊され墓地へ送られた場合」は
破壊された後に別の効果が発生してもタイミングを逃さず発動できるのです。
このタイミングを逃さないという点で時よりも場合の方が優れていると言えます。
Q:じゃあ「時」と書いてある効果であればタイミングを逃すわけだね!
A:「時」と書いていてもタイミングを逃さない効果もあります
こんなカードがあります
効果モンスター
星4/水属性/爬虫類族/攻 0/守2000
自分フィールド上のこのカードが破壊され墓地へ送られた時、
デッキから「レプティレス」と名のついたモンスター1体を手札に加える。
このカードもフィールドで破壊された時という
ブルーローズ・ドラゴンと同じ発動条件を持つカードです。
そしてファントム・バウンサーと違いテキストに「時」と書かれています。
ですがこのカードも破壊輪で破壊された場合でも効果を発動可能になっています。
その理由は「手札に加える事が出来る」ではなく
「手札に加える」と書いてあるからです。
はい違うんです
「できる」と書いてあるのは任意効果と呼ばれるものであり
条件を満たした場合発動するかしないかを選べる効果となっています。
一方で「する」「加える」といった断定系のテキストが書いてあるのは強制効果といい
条件を満たした場合必ず発動しなければならない効果となります。
そして「任意効果はタイミングを逃しても強制効果は逃さない」のです。
この違いにより強制効果は発動したくない場合でも発動しなければならない代わりに
タイミングを逃す事が無い点で任意効果より優れている面が存在します。
長々と書きましたがタイミングを逃す効果を見分けるポイントは
「時と場合」、そして「できるとする」の違いです。
基本的に「〇〇の時、〇〇できる」と書かれている効果はタイミングを逃し、
それ以外の「〇〇の場合、〇〇できる」と書かれている場合も
「〇〇の時、〇〇する」と書かれている場合もタイミングを逃しません。
このテキストの違いを見分ける事が出来れば
タイミングを逃す効果と逃さない効果の区別が可能となります。
いやあ本当にややこしいですね
遊戯王にはこのように複雑なルールが大量にあります。
ですが最初に述べた通り熟練者でも結構間違えるルールであり
初心者の人が分らないからってあまり気に病むことはありません。
機会があれば今後もこういった遊戯王用語の講座をしていこうと思う為、
初心者の人たちが遊戯王のルールを把握するきっかけになればと思います。