鈴奈庵48話の感想です。
久々にサブタイトルに前後編がついていません。
人里における妖怪の影響
前回の話で妖怪の事が気になってしょうがなくなった小鈴は
まずは妖怪退治をよくしている魔理沙に話を聞いてみる事にします。
妖怪が人里に関わっているのは把握していた小鈴ですが
想像以上にどっぷりと人里に妖怪の影響が出ているのが怖くなったわけですね。
そして魔理沙が言うには確かに幻想郷は妖怪の為に存在するという事。
元々幻想郷は外の世界で生きていけなくなった妖怪たちが
自分たちが暮らしていけるような隠れ里を作ったのが成り立ちです。
外の世界では妖怪が存在する源であった「正体不明のものに対する恐怖」が
科学の進歩と共に1つずつ解明され恐怖されるものでなくなってしまったので
ちゃんと恐れてくれる人間のいる場所を用意する必要があったわけですね。
なので妖怪はその気になれば人間を簡単に滅ぼせますが
それをすると自分たちが生きていけなくなるので危害を加えないだけでなく
天災や飢饉などの問題から人里を救っていたりもするわけです。
この人間と妖怪の関係に関しては人間を経済動物に例えれば分かりやすいです。
人里が牧場であり人間はそこで妖怪がお世話している牛や羊などの畜産動物です。
妖怪はその気になれば牧場の動物を全滅させる事は出来ますが
それをしてしまうと生活が出来なくなるのでそんな事しないわけです。
殺すとすれば牧場(人里)から逃げた動物を駆除する場合などでしょう。
勿論大切な家畜を守る為には台風などにも気を付けないといけません。
そして家畜(人間)側も妖怪の手助けが無ければ台風などから身を守れないわけですが
逆にこのように「妖怪の助けが無ければ生きていけない状況」を作る事で
人間の妖怪に対する依存度を高めて不満が出にくくしているのかもしれません。
以前人間の中から人里の指導者が出る事を妖怪が恐れていましたが
もし指導者が出た場合「妖怪に頼らない解決策」を編み出す可能性があり
それは妖怪側としては好ましくない状況なのでしょう。
散々家畜に例えてますが当然ながら人間は知能のある存在であり
自由の無い環境だと不満はどうしても生まれてしまいますから。
で、結局なんで敵視するの?
小鈴は妖怪が人間に協力する理由は理解できましたがわからない事が1つあります。
阿求が話していた「何故人間にとって妖怪は敵なのか?」です。
人里が妖怪に助けられいるなら仲よくした方がいいんじゃと思っているわけですね。
それを確かめるには言っていた張本人に理由を聞くのが一番でしょう。
というわけでやってきました稗田家の屋敷です。
そして質問、阿求が思いっきり小鈴を子ども扱いして小馬鹿にしてます。
阿求の態度からして相当いつも同じような事してるんでしょうね。
ドヤ顔しまくってる阿求に「お前もあんまり年齢変わらんだろ」と
血管ピクピクさせながらも小鈴は阿求の話を聞きます。
阿求の出した質問の答えは「妖怪を敵視する事が人里にとって最適解だから」
何故そうなのかまでは阿求は細かい事は教えませんでしたが
改めて小鈴にあまり妖怪と仲良くしないようにと釘を刺します。
阿求の答えに納得がいかない様子の小鈴。
そんな鈴奈庵に戻ろうとしている小鈴に1人の女性が声をかけてきました。
幻想郷を作った1人である八雲紫です。
当然小鈴は目の前の人物がそんな大妖怪である事を知らず、
百物語の時にいた参加者Aぐらいの認識でしかありません。
紫はそんな小鈴の気持ちを知ってか知らずかただ不気味に微笑みます。
さて小鈴に何を話すのか・・・。
サブタイトルには前後編と書いてありませんでしたが
明らかに次回に続く終わり方をしています。
恐らくは前後編だけでは終わらないからでしょう。
今回のポイントである人間と妖怪が敵対する理由ですね。
これは他の媒体でも散々説明されていますが主な理由は2つです。
1つは「人間が妖怪を恐怖してくれないと困るから」です。
全ての妖怪が、というわけではないですが
基本的に妖怪は人間の恐怖を糧にして生きています。
そしてもし人間が妖怪と仲良くしようと考えるのであれば
それは妖怪を恐れていないという事を意味します。
もしそうなれば恐怖してくれないと困る妖怪は改めて人間を恐れさせようと
今までよりも積極的に人間に危害を加えようとするでしょう。
そんな事態は人里側としても避けたいからこそ
本来は助けてもらってる立場の妖怪を敵とみなすようにしているわけですね。
敵視する事もまた妖怪を警戒、恐怖しているという意味になりますから。
もう1つは「争う相手がいないと妖怪が弱くなるから」です。
求聞史紀で説明されていますが昔吸血鬼が幻想郷に戦いをふっかけて
一時期幻想郷がピンチになっていた事がありました。
この時、ろくに戦いがなかった為に妖怪が皆弱体化していて大苦戦したのです。
このように妖怪が弱くなれば外敵から幻想郷を守るのは勿論の事、
災害などから人里を守る事にも苦労してしまう事になるでしょう。
この反省を生かしてもっと積極的に人間と妖怪が戦える環境を作り、
妖怪が鍛錬をつんで力をつけられるようにしたのがスペルカードルールです。
簡単に言えば「殺さない程度にボコりあえるようにしたルール」ですね。
まあ不慮の事故でそこそこ死人出るそうですが
結局の所妖怪を敵対視するのもやっぱり妖怪の為だという事です。
所で今回小鈴は「阿求はあまり自分と年離れてない」的な事を言っていました。
小鈴は作中の描写などから霊夢や魔理沙よりも年下だと思われ
また子ども扱いされている為成人になっていない可能性が高いです。
幻想郷が出来た明治時代であれば女性は14歳程度で成人とみなされるので
小鈴はそれよりも下の12、13歳くらいだと思われます。
阿求はそれよりも少し上でかつ成人扱いの14、15ぐらいでしょうか。